ジュニア探偵小説 白百合の君 西條八十 ポプラ社 小売業者

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昭和32年5版本体のみの裸本(カバーのカラーコピーをお付けします)途中頁の1枚が3分の2ほど欠け(物語の筋が見失われるほどではありません)(※画像A参照)頁の縁にヤブレ欠け(「176P上角」と「奥付頁下角」の2ヶ所)非貸本状態ヤケ・シミ・イタミ
作品掲載誌の多くが『少女の友』などの少女雑誌であったことから、ストレートな「少女小説」、もしくは少女が主人公の「少女探偵物」を数多く書いてきた西條八十ですが、彼の場合、同じ「少女探偵物」(もしくは探偵要素の強い「少女小説」)でも、なぜかしら探偵要素が濃いめの作品ほど出来がイマイチで(例:『幽霊の塔』)、その反対に、より少女小説寄りな内容のものほど出来が良い(例:『悲しき草笛』)というジンクスがあるようです。ただ、そんな中、少女小説要素と探偵要素がバランスのよい融合を果たし、恐らく作者自身も企図しえなかったほどの奇跡的傑作に仕上がっているのが本作『白百合の君』であると言えます。殊に物語の終盤に明かされる主人公の出生の秘密にまつわる驚天動地のどんでん返しはまさに鳥肌モノで、物語の様相を完全にひっくり返してしまうほどの大仕掛けであるため、おかげで再確認のために思わず最初の方から読み返してみずにはいられなくなること請け合いです。作中に登場するある2人の人物を、ただの脇役だと思って油断していると、最後の最後になって、それまで作者の筆にすっかり騙されていたことに気づかされるハメになります。文句なしに西條ジュブナイルの最高傑作と呼びうる1作です。

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